相続対策実務のポイント

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●相続対策にあたっては、相談者の家庭の事情、親族構成、財産構成、将来の生活設計など、様々な要素を理解するためのヒアリング技術が重要で、いかに生活権、経営権、財産権を上手に次の世代へ引き継いでいくかが最大のポイントとなる。

●相続対策におけるリスクマネジメントとしては、争族、資金、税務の3つをクリアすることが必要である。「争族」は、分割と民事信託が一つの鍵となり、「資金」は債務と相続税の支払い手段、及び生活権の確保がポイントになる。また、「相続税」に関しては評価減や贈与、寄付などが税対策の中心である。

1. 不動産相続の8つの切り口

不動産相続に対しては、次の8つの切り口を理解して取り組んでいく必要がある。

(1) 老々相続

日本の高齢化率(総人口に占める65歳以上の高齢者の割合)は、平成25(2013)年には25%を超え、既に超高齢社会に突入している。さらに、65歳以上の高齢者だけの平均年齢をとっても毎年上昇傾向にあり、被相続人の相続発生時の年齢が高くなっている。したがって、相続人である配偶者や子供の年齢も高くなってくる。

これらは、一般的に老々相続と呼ばれ、相続人の1人となる配偶者は、圧倒的に高齢の女性が多い。高齢女性の相続については、財産の承継の問題だけではなく、その後の生活保障的意味合いが強くなり、相続とファイナンシャルプランニングを一体で捉えておかなくてはならない。

さらに、高齢のため次の相続が近くなり、連続して相続が発生する可能性が高まってくる。従って、単に2次相続対策だけではなく、孫などの直系卑属も含めた3次、4次相続までを見込んだ対策というものを考える必要がある。

(2) 相続人である高齢女性

高齢社会がさらに進展すると、高齢者に占める女性の割合はさらに高くなる(現在でも65歳以上だけを見ると男女比は2:3)。つまり、男性が遺した相続財産を、女性が今後の自らの人生設計でどう役立てていくかということが今後の重要なテーマとなる。

また、相続人である高齢女性は、自らの生活基盤を確保するという側面の一方で、子供や孫への贈与に関する意識も高いといわれ、2次・3次対策を上手に行うことで経済的に社会に好影響を与える可能性がある。

(3) 高齢者の核家族化

高齢者の独り住まいや夫婦だけといった核家族化が進展している。つまり、次の世代の相続人らと別の生活をしているのである。そのため、被相続人の財産構成や財産状況等についてのコミュニケーション不足が生じやすくなる。

さらに、年齢とともに記憶も薄れてくるため、被相続人と相続人間だけでなく相続人同士の間でも理解度の濃淡が生じることになる。その結果、相続で最も重要な事前の検証(リスクマネジメント)が不足する傾向となっている。家族信託などの民事信託の採用や成年後見人制度の活用などを含めた、相続における「前始末」を考えておかなくてはならないのである。

(4) 相続財産は不動産

日本の個人の富(純金融資産+不動産)の65~70%程度は高齢者世帯が保有しているといわれ、相続財産のうち、不動産の占める割合は60~70%になっている。金融資産が少なく不動産が多くあるという世帯では、納税資金が潤沢にあるわけでなく相続税の納付に困難を生じさせてくる。

一方、相続税のかからない世帯では、相続財産のうち資産価値の大きいものは自宅のみというケースも多く、不動産の割合が高くなっている。一つの不動産しかないケースでは、相続財産の分割に関してもめ事の原因にもなりかねない。1人で生活していた母親の自宅の相続を兄弟が争うケースなどは、日常的に起こりうるのである。

(5) 再婚数の上昇(離婚数の上昇)

現在の日本では、4組の結婚に対して1組は、いずれか一方、もしくは両者が再婚者である。その中でも子連れ結婚が増えており、相続が発生した場合、連れ子の取扱いをどうするかなど問題が複雑化してきている。さらに、妻の連れ子が2次相続人になると、血縁のない者に財産が移動するなど感情の問題も絡む。このため、相続対策において先を見据える戦略はより重要になる。

今後は、こうしたケースにおける財産分与等についての提案なども必要になってくる。特に高齢者同士の再婚数が増えており、上記のような法定相続人に大きな影響を与える問題も生じるため、事前の対応が重要になってくる。

(6) 相続税法と民法の違い

相続財産の範囲や相続財産の評価など、相続税法と民法とでは、取扱いが異なる。たとえば、生命保険金や死亡退職金などは、相続税法では相続財産(みなし財産)となるが、民法では相続財産とはならない。また、土地の評価も相続税法では路線価を基軸にすることが多いが、民法では実勢価格(時価)となる。

簡単にいうと、民法とは相続人間の権利の調整など、いわゆる「争族」にならないために考えておくべき法律で、相続税法は「税金の支払い」を考えて対応する法律である。つまり、相続に関するコンサルティングにおいては、こうした民法の専門家と税法の専門家をうまくコーディネートしていくことが必要になるということを理解しておかなくてはならない。

(7) 債務の相続

高齢者全体としては、借入金などの債務は減少している。ただ、不動産所有者という富裕層の中には、資金調達を借入金に依存していた層や、相続した不動産を担保にして新たな資金調達を行ってきた高齢者が少なくない。

ところが、相続に関して、プラスの財産に関しては興味を示しても、マイナスの財産には詳しくない不動産所有者が多い。たとえば、借入金は遺産分割できない(相続人間では有効で、かつ債権者と免責的債務引受契約を結ぶことで特定者に債務を集中させることは可能)ことや、被相続人が行っていた連帯保証も相続されることが理解できていないケースなども多い。

また、家賃収入などでフローが回転しているうちはよいが、賃料低下、空室率アップ、家賃滞納増加のほか、金利の上昇や修繕費の発生などによりキャッシュフローがマイナスになり、この段階で相続が発生するとマイナス財産の継承になってしまう。

(8) 相続税課税の強化

今後20~30年間は、相続により、高齢者が所有している不動産や金融資産の移動が大量に発生する。所得税は、個人の生前の収入に対する課税であるのに対し、相続税は、所得税で所得を捕捉できなくとも最後の相続の段階で精算できるという意味で所得税の精算課税といわれる。国は、増加していく高齢者には、所得を勤労所得と金融所得に二分しそれぞれで損益通算して課税するいわゆる二元所得税制で対応しようとしている。相続税の強化は時代の流れが要請しているものであり、基礎控除額の引き下げや遺産取得者課税へのシフトなど、相続税課税は強化されていく。

一方、贈与税は、相続税の補完税の役割はあるものの、経済の活性化という政策上の観点からは緩和傾向にある。

相続税の強化と贈与税の緩和は、消費税増税などの税制面の整備とともに、富の再分配という面と経済活性化という面からも重要な視点になる。

2.不動産相続の具体的考察

(1) 不動産相続の視点

不動産相続や事業承継において考えておかなければならないポイントがある。

① 不動産や企業は原則として継続していくが、その所有者・経営者には、寿命があること。

② 不動産事業や企業経営は継承後の新しい所有者が意思決定を持つため、将来にわたる戦略的思考が要求されること。

③ 不動産事業や企業経営も利害関係者全員の未来の幸せに繋がり、社会がそれを認めていなければならないこと。

④ その相続や承継によって、どんな未来ビジョンがあるかを事前にできるだけ広範囲の人々に示しておく姿勢が要求されること。

⑤ 税対策や収益といった目先の損得より優先させるべきものを考えておかなくてはならないこと。

不動産相続や事業承継において考えなければならないのは、単なる相続や承継という一時的な現象ではない。土地という不動産は永遠であり、企業経営もゴーイングコンサーンと呼ばれる継続・永遠性が最大の目的となっている。ところが、それを扱う人間には寿命があるため、相続や継承といった問題が発生するという当たり前のことを、まず理解する必要がある。したがって、単に相続とか継承というある一定時点において、取りあえずバトンタッチすることを考えるだけではより良い相続や継承にはなり得ず、常にその先にある未来を意識しておかなければならない。

(2) 「争族」になる8つの理由

不動産相続は、相続人であるその後の所有者に、「争族」と「相続」という大きな影響を与える可能性がある。「争族」とは、財産分割上の損得といった感情面の争いであり、「相続」は相続税を支払うという勘定面である。預貯金や金融資産の多い相続であれば、法定相続分での分割が容易で公平性も保ちやすいが、不動産相続は最も親族や相続人の争いになりやすい。それは、主として次のような理由による。

不動産所有者のうちには、不動産を所有・活用することで生計を立てている事業者も多いこと。

不動産の相続税評価額は財産評価基本通達により路線価方式や倍率方式で計算されるため、民法的分割である時価を要求する相続人の間で意見が一致しにくいこと。

公平に分けようとすればするほど、不動産を処分して現金化していくことになりがちで、あること。

不動産には、住まいとしての役割、賃貸収益を生み出す役割、自らの事業の基盤としての役割、金融機能としての役割、将来設計のための役割などいくつもの側面があること。

相続税法には物納という制度があるため、不動産をそのまま納税に充てることもできるため、処分方法について相続人間で意見が分かれるケースがあること。

誰がどの不動産を承継していくかについて、不動産の立地特性と相続人の所在地や、不動産の利用方法と相続人の収入等の属性などの組み合わせを考慮しなくてはならないこと。

相続税法では、小規模宅地の評価減や貸家建付地評価など、税制の仕組みによって土地の評価が大きく変動するため、こうしたメリットを利用できるかに力点を置いて相続人を決定しがちであること。

親の居住用の不動産しかないような場合には、複数の相続人間での分割がしにくくなることで争いが起きやすいこと。

(3) 「見えざる債務」の理解

相続税とは「見えざる債務」という理解が必要になる。金融機関からの借入金などがある場合は、相続人は相当意識しているはずである。極端に言えば、プラスの財産は相続するが、借入金などマイナスの財産はなくしておいてほしいと考える。

ところが、一定規模以上のプラスの財産だけが相続財産になると、相続税という負担が発生する。相続税は、あえて言うと「国からの借入金」とも言える。

「相続税など計算したこともない」という財産家は、「金融機関からいくら借りているか知らない」と言っているのに等しいということに気付いていないのである。金融機関からの借入れなら、しっかりとした金利交渉などを行い、返済原資を明確にして、返済期間内で返済が可能になるよう返済方法を決定しているはずである。

ところが、「国からの借入金」に対しては、返済期限はわずか10ヶ月であることを理解しておかなくてはならない。さらに、この10ヶ月のスタートは相続開始日(現実には、相続人が自分のために相続開始があったことを知った日の翌日)なので、考える余地は極めて少ないのが現実である。

(4) 不動産コンサルタントの役割

不動産を所有する者とそれを相続する者の両者が、相続発生以前に「どうしたいのか」「何のために」という意思確認の機会を何度も持つことが重要である。この場合、不動産の専門家の存在は効果的で、不動産の多面性についての専門家である不動産コンサルタントの役割は重要である。

相続税の現状を知ることや、納税資金とのバランスを理解しておくこと、あるいは、不動産の相続後の活用法などを考えておくことは、「何のため」の確認につながる。

相続対策とは、相続だけを目的とするのではなく、不動産をどう活かすかという観点が重要であり、不動産活用の中で発生する一つの形態が相続であるということを理解しておく必要がある。

(5) 相続による不動産売却のポイント

不動産相続において、納税のためには、不動産を売却し資金を生み出すか、不動産の物納の方法が考えられる。

売却によって納税する場合には、次のような検討が必要となる。

どの不動産を処分するか

誰に売ることができるのか

その後の生活に影響が出ないか

納税期限までに処分は可能か

相続人の間での合意はできているのか

売却金額は妥当か

⑦ 売却に関する税負担は有利か、不利か

⑧ 担保付の不動産の場合の手取りチェックはできているか

⑨ 代償や代物相続も考えてあるか

⑩ 売却できなかったらどうするか

物納制度を活用しようとすると、売却物件を選択するより難しくなる。国が、物納申請財産の種類や申請順位、物納適格財産など、物納の条件を厳しく設定しているからである。

3.不動産活用としての不動産相続

(1) 相続税を知ることは第一歩

不動産相続においては、「国からの借入金」が、相続される不動産とセットとなっている。国からの借入金である相続税を知っておくのが、相続におけるリスクマネジメントの第一歩といえる。国に対する見えざる借入金である未払相続税を明確にしておくことにより、相続税戦略が立てやすくなる。そのためには、相続税を支払える財務状況にあるかどうかを検証する。

① 金融資産や株式などでクリアできるか

② 不動産などの売却によって返済できるか

③ 売却不動産は優良な経営資源ではないか

④ 金融機関からの資金調達は可能か

⑤ 親族間全体の中で対応は可能か

⑥ 物納による返済資源で対応できるか

⑦ 国以外からの債務返済とのバランスは検証してあるのか

(2) 相続税対策

次のようなケースでは相続税対策は必要不可欠である。

① 現状の財産状況では相続税を支払えない

② 相続税を支払うとその後の生活に支障を来す

③ 相続税を支払うと金融機関などからの借入金の返済原資が厳しくなる

④ 不動産活用としての事業継続に影響が出てくる

⑤ 収益や生活の基となる不動産などの相続財産が納税資金になることで将来が不安になる

(3) 3つのパターンの税対策

相続税対策には、基本的に次の3つのパターンがある。

① 資産(特に土地など不動産)の評価減

② 資産の移転(贈与・寄付・消費)

③ 法定相続人(基礎控除と軽減税率)

③に関しては、感情や心情面という要素が強く、実質的には、①資産の評価減と②資産の移転の2つのパターンが考えられる。

この評価減と移転を考えるにあたっては、まず、以下のようなポイントをクリアしておかなければならない。

評価減 → 価値を下げないで評価が下げられるか

移転 → 次世代や社会への貢献度をどこまで広げられるか

(4) 評価減の基本は価値を下げないこと

評価減の基本的な考え方である「価値を下げないで評価を下げる」とは、収益力や財産価値そのものは現状を守りながら相続税の対象となる相続財産評価を下げることをいう。不動産評価減になりうる4つの要素には、次のようなものがある。

A. 立地的要素

立地的な要素は、さらに見える欠陥と見えない欠陥に分けられる。

見える欠陥には、不整形地、無道路地、傾斜地、凸凹地、温湿地、がけ地、三角地、間口狭小地、前面道路との高低などがある。

見えない欠陥とは土壌内の欠陥のことで、土壌汚染、埋蔵物、津波による塩害、放射能汚染、上下水道・ガスなどの供給処理施設の未整備などが考えられる。

B. 環境的要素

環境的要素には、隣地が墓地とか、工場やゴミ処理施設の臭気が強い、あるいは、高速道路や鉄道の高架があり日照や騒音障害が生じるなどのケースがある。目の前に歩道橋があるなども同様である。

C. 心理的要素

心理的な要素には、境界の争いのある土地、関係者が自殺していた土地・建物、あるいは、暴力団事務所が入居しているビルなどが考えられる。

D. 法律的要素

法律上の要素には、①税法上の要素、②相続人の要素、③公法上の要素、④災害法の要素の4つがある。

①は利用単位・種類区分によるもので、私道、貸宅地、貸家建付地など、どんな利用法を採用しているのか、種類は何かによって評価方法が異なる。②には小規模宅地等の評価減、③には建築基準法第42条第2項道路におけるセットバックに必要な土地や都市計画道路予定地などが入る。

④としては、東日本大震災のケースでは、土地は震災特例法(東日本大震災の被災者に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律)、建物は災害減免法(災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予者等に関する法律)などによって評価減の対象となっている。

4. 民法と相続税法の重要な2つの違い

(1) 相続財産の評価

民法は、相続財産の評価は「時価」すなわち通常の売却可能価格をベースに相続に関する権利・義務の範囲を定めている。一方、相続税法は、相続税の納税者と納税額の算出方法、納税方法などを定めている。つまり、民法は相続権や財産権の確保に関するものであり、相続税法は相続税という国税の納税義務の範囲を定めている。

相続財産の分割のベースになる財産の金額は、通常は時価である。ここでいう時価とは、相続開始時における「客観的な金銭(現金化できる価格)の評価額」のことである。したがって、現預金などについては民法も相続税法も基本的には同じだが、土地や建物などの不動産では少し異なってくる。

相続税法では、第22条で「財産は時価で評価し、債務は現況による」と定めている。ところが、財産評価基本通達において定めた評価方法を時価とすることも認められている。つまり、土地は路線価方式や倍率方式、家屋は固定資産税評価額などを利用してもよいということである。

不動産などは処分することに時間やコストを要する。そのため、相続税法では原則として時価より低めの価額を設定して財産評価通達に定めている。そうすると、各相続人が同じ時価の財産を相続したにもかかわらず、それぞれが納税する相続税額に違いが生じるケースもある。

また、建物の時価も相続税法上は固定資産税評価額となり、さらに貸家の場合には、借家権割合が差し引かれて評価される。したがって、固定資産税評価額が同じ建物でも、自用の建物より貸家を相続した者の相続税が低くなることになる。

また、小規模宅地等の評価減を受けた土地と受けていない土地等の差については、もっと大きな差がつくことがある。400mまでの事業用地や330mまでの居住用地(相続や遺贈による取得の場合)は80%の評価減となるため、相続人の相続税評価額は大幅に減少する。つまり、民法の時価ベースでは同じでも、小規模宅地等の評価減を受けられない土地を相続した相続人とは相続税額においてかなりの差が生じることになる。

現在の相続税法では「相続財産課税」という計算方法が採用されている。したがって、被相続人の相続財産の相続税法上の課税価額を算出して基礎控除を差し引いた課税遺産総額を求めてから、法定相続分に応じて相続税額を算出する(相続税法第11条)。つまり、最初に相続税の総額が決まるので、誰がいくら納税するかは国から見るとあまり意味がないのである。

ところが、相続人は自分の取得した相続財産(相続税法上の相続財産)に応じて相続税を納めることになる。つまり、民法上、相続財産を均等に分割したにもかかわらず、相続税の不平等が生じることになる。

相続税軽減効果の具体的計算

A. 設定事例

B. 資産内容の把握

C. 法定相続人の数

3名 配偶者と、長男・次男の2人

D. その他

自宅、駐車場敷地とも、借地権割合60%、借家権割合30%の地域。

(3) 相続税額比較計算

A. 現状のままでの相続税計算

以上から、現状のままでの納付予定税額は、47,850千円となる。

B. 有効活用した場合の相続税計算

以上から、現状のままの納付予定税額47,850千円に対して、有効活用による納税予定額は、8,712.5千円となり、有効活用によって約82%の相続税軽減効果が計れる。

 

 

不動産価格に関する考察

下記不動産につき、「不動産価格」を考察いたしましたのでご報告申し上げます。

・不動産の表示

土地 所在地 福井市        番

地目 宅地

地積   番149.99(約45.37坪)、4 1 番 150.38(約45.48坪)

・公法上の規制

市街化区域 :準工業地域

建ぺい率  : 60%

容積率   : 200%

その他   :福井市景観計画区域

・土地形状および接道関係

道路: 北側公道 幅員約6m、南側公道 幅員約6m

形状: 北側間口  約7.4m、南側間口 約7.4m

    北側奥行  約20.2m 南側奥行 約20.2m

※別添の土地形状寸法は福井戦災復興図面でかなり古いもののため現在の測量にて若干の誤差は生じます。

・市場の特性

福井市北部に位置し、需要者は福井市内で居住用としての一次取得者が対象となり、    の文教の街として、また藤島通り近辺のスーパーマーケット、ドラッグストア等も近隣にあり利便性が良いことから一定も需要は見受けられます。

土地需要価格は1000万前後、面積は150㎡~200㎡の宅地分譲地が好まれるため、本物件の一番のメリットは区画割が分筆登記を要せずに、45坪強と単世帯向きの住宅として低限の坪数を確保できている土地である。特に南側の土地は公園前でもあり需要があると思われます。

マイナス要因としては、目視では南約7.25m狭小間口である点、北側には下水道桝のみ設置が見受けられるが、南側には上下水道引込工事が必要となる点、昨今    へ通わせたい方が多い点があげられます。

・参考価格

① 近隣売り件価格(平成25年8月売買)

福井市      横、アパート用地

(面積240.22坪、北西向き、フェニックス通沿い、成約坪単価15万)

※本物件が対象住宅地ですが、①は住宅用地としては不向きであり比較し難い。

C 南側のみ売却

上記により当該地価格は④を参考とするのが妥当であると推察します。

(1)④より       (2)     (3)=(1)×(2)

標準価格 211,240円/坪 個別要因 99/100 考察価格 209,128円/坪

個別要因 市場整合性+3、住環境+2、接道状況+−0、地形並びに間口−3、ライフライン−1、建築工事上効率化−2、学区(小学校)−1、東西南北向き+2、阻害要因−1(アスファルト撤去)
差引 −1

よって当該土地更地価格は上記(3)より209,128円坪単価と推察いたします。

・当該不動産の価格査定 土地 地積約45.37坪×209,128円/坪=9,488,137円

当該不動産の現状有姿売買価格 9,488,137円 推察いたします。

参考 上記の個別要因について説明

・市場整合性とは市場が求めている需要層との差異・住環境とは住宅を検討の方への利便性、快適性について・ライフラインとは主に上下水道完備有無について・建築上効率化とは、売主側境界明示費用、買主側の建築公法上の効率化並びに販促経費、費用対効果について・阻害要因とは除却工事有無および通行難易度等を表しています。

所見

3パターンの売却方法について査定致しましたが、B売却は価格が低くなるだけではなく、売主、買主双方の非効率化として経費が多くなることになります。将来の南側の売却時価格に更に経費がかかる面、Cとの価格差が坪28,648円ありますが、その金額にも影響を及ぶことを考えますと、AまたはCの売却から始めていくことがよいのでないかと存じます。
また販売価格は、買主からの価格交渉を鑑みますと5%増でのスタートもよいのでないかと思われます。

・添付書類一覧

1) 平成31年地価公示価格表

2) 住宅地図 写し

3) 公図、戦災復興図面 写し

4) 令和元年度 路線価表

5) 小学校学区別住所

6) 物件 写真

※本書は、不動産の鑑定評価に関する法律に基づく不動産鑑定評価ではありません。

株式会社アセットコンサル