施工時期や施工方法などは事業計画の段階でも必要となる知識であり、材料や施工方法なとは維持管理にも必要な知識となる。
* 事業を成功させるためには、関係者のチームワークが大事になる。特に4のパターンで不動産コンサルティングを行う者としてかかわる場合、設計者、建設会社との立場、役割に注意を払い、事業主への企画を活かしていくうえでも、建築に関する知識と、関係者とのコミュニケーションが必要である。
設計図書とは、建築物の工事施工や法的出願・契約に必要な図面・仕様書・その他の書類で、建築基準法では、建築物とその敷地や工作物に関する工事用図書(原寸図その他これに類するものを除く)や仕様書とされ(建築基準法第2条第12号)、建築士法でも、建築物の建築工事の実施のために必要な図面(現寸図その他これに類するものを除く。)及び仕様書とされている(建築士法第2条第6項)。
設計図書は、通常、設計図と仕様書で構成される。
設計図は設計内容を表す図面で、一般図(配置図、平面図、立面図、断面図、展開図、詳細図など)、構造図、設備図(電気設備図、空調設備図、給排水設備図など)がある。
仕様書は、施工者に対する設計者の指示で、図面に表示していない事項を文章で表現し、一般的には、工事の概要・注意事項、使用材料の種類・品質・成分・性能・使用方法、施工の順序・方法、仕上げの精度、名種の検査・試験、メーカー・施工業者等を記した書類で、標準仕様書、共通仕様書、特記仕様書がある。
実施設計とは、設計者の意図を実際の工事にかかわる人に伝えるために作られる図面で、具体的には建築意匠図、建築構造図、機械・電気設備図、給排水衛生設備図、空調設備図、標準仕様書・特記仕様書、工事費積算書などを指す。その前段階の基本設計で十分に依頼者や関係者(コンサルティング業者を含む)と打ち合せができていれば、予算が超過して見直す場合以外は、実施設計の段階で大きな変更はないのが普通。したがって、コンサルティングする立場としては、早い段階から計画にかかわることが望ましい。
設計図書に基づいて積算し、工事金額が確定すると請負契約の締結となる。一般的な契約書は、「工事請負契約書」「工事請負契約約款」「見積書」「工程表」「仕様書」「図面」で構成される。
工事名称、工事施工場所、工事請負金額、支払方法、工事期間、天災その他の不可抗力による損害の負担、各当事者(施主、施工者)の履行の遅滞その他債務不履行の場合の遅延利息および違約金、契約に関する紛争の解決方法などが記載され、契約当事者欄には、発注者と請負者、監理者が記名捺印する。
工事請負契約約款は、工事中や建物の完成及び引き渡しの後に生じた問題の解決方法を取り決めた書類で、工事請負契約時に添付され、共通工事請負契約約款(民間連合協定工事請負契約約款)に準じたものが一般的に使われる。
工事請負契約約款には、権利義務の譲渡の禁止、注文者・請負者や監理者の責務、工事用地の確保、関連工事の調整、請負代金の内訳書と工程表の対応、一括委任・一括下請けの禁止、契約の保証、監督員、現場代理人、履行報告、工事材料の品質・検査、工事記録の整備、条件変更、設計図面に不適合な場合の措置、設計図書の変更、工事の一時中断、工期の延長・短縮、請負代金の変更、第三者への損害対応、不可抗力の損害対応、火災保険等の加入、検査・引渡、瑕疵担保、履行遅延・損害金、発注者・請負者の解約権等について記載されている。
見積書、工程表、仕様書、図面に関しては、工事請負契約書の根拠となるので、仕様書を添付すること。